私は貝になりたい的な
祖父は戦後の裁判で死刑になったと聞いていた。
祖母はよく仏壇に向かい手を合わせながら
「おじいちゃんは私たちを守るために死んだのだ」
と言うようなことをつぶやいて、それが不思議だった。
どう考えても兵士の祖父が戦中の犯罪で戦後死刑になることと
私たちを守ることがつながらなかったのだ。
先日祖母が亡くなりその葬儀の席で
祖母の知人や弟から、いろいろな話を聞いた
話を総合すると、どうやら、当時の罪で裁判にかけられたのは
祖父のほかにもう一人いたらしい。Aさんとしよう。
Aさんと階級も年齢も一緒で特に差はないはずなのに、
なぜかはわからないが、祖父は死刑になり、
Aさんは釈放され、村に戻ってきたらしいのだ。
(無罪だったのか服役後かどうかまではわからなかった)
結果、Aさん宅は村八分となった。
人殺しの癖に堂々とよくもまぁ、などと陰口をさんざん叩かれ
子供はいじめられ、早々に村を出て行ったらしい。
しかし、引っ越した先でもいじめ抜かれ
最後は一家心中してしまったそうだ。
私の記憶では優しい人やなつこい笑顔の人が多い
のんびりとした田舎だったのに・・・
あまりのことに心が整理できない。感情が追いつかない。
――おじいちゃんは私たちを守るために死んだのだ――