スナックelve 本店

バツイチ40代女の日記です

No.0909 マイ・インターン[ネタバレ]

仕事で成功した女性ジュールズの元にシニアインターンで入社した年配男性ベンが配属されて巻き起こるヒューマンドラマ?
ネタバレあり



  • 悠々自適の生活にも飽きて社会的に必要とされたいベン(70)はシニアインターンに応募
  • 女社長付きになる
  • 干されるが周囲と良い関係を築く
  • ドライバーが酒飲んでる所を見てしまいドライバーを代わる
  • 少しずつ社長に信頼される(途中で異動させられたり社長の母親の家に侵入したり)
  • 社長の夫の浮気を偶然見てしまう
  • 社長に浮気の相談をされる
  • 社長が家庭のためにCEOを迎えるのにアドバイス
  • happy ending

誰の物語?

主人公はベンなんだけど物語のほとんどはジュールズ中心に進む。これってたぶん人生も70歳くらいになったら若い人を中心に話を進めて、アクシデントがあった際のサポート役になれるのがいいよねー的なことなのかなぁ? ちょっとよくわからなかった。ジュールズ主役でも話は大して変わらない気がするんだけどね。ベンは格好いいサポート役に徹してた。
ベンは前に観たインターンシップみたいに、さっぱり業界のことがわからない人が努力と機転と経験を駆使して追いつく話とは違って、今まで積み上げてきたもので勝負できるシニアって感じでかっこいい。

ジェネレーションギャップじゃないギャップ

最初にyoutubeに自己紹介をUPで一悶着有るかと思ったらスムーズに。面接会場には酸素ボンベ携帯してるお爺ちゃんもいたり。採用後、じゃ、配属先はメールで知らせるから席でメールを見てって言われたときに、てっきり物理メール(手紙)と間違えるボケが入るかと思ったけど、何事もなくMacbookでメール見てた。
アメリカだと70歳でもメールのチェックくらいできちゃうんだねぇ。日本でメールチェックして、っていわれてパソコンでメール観れる70歳がいるんだろうか・・・あ、うちの親父もそれくらいか・・・勝手に意外がってたけど結構いるかw でもたぶん、いつもつかってるパソコンじゃないとだめだと思うw youtubeに動画UPとか私はググらんとできないなぁwww
あと、ベンが職場のマッサージ師にマッサージされて勃起しちゃったのを両脇の席の同僚は「わーお、まだ現役じゃーん!」って感じで割と明るく、これで隠しなよ、みたいにフォロー入れてて日本だとあり得ないなぁと思った。これも思っただけで男子文化では結構ありなのかもしれない(人生の先輩がまだ性的にイケるってのがハッピーニュース的に扱われるのかなぁ、とか

社会(男)から必要とされたい病

ベンは社会から必要とされたい、とヨガやら何やらいろんなことをして、シニアインターンに応募する。この映画にはもう一人社会から必要とされていることを求めて迷走する人がいる。ジュールズの夫マットだ。かつてバリバリ働いていたという彼は、妻の成功を支えるために自ら家庭に入る。が、迷ってしまう(ママ友と浮気)。それを許せるかどうかはパートナーによるのだろう。私だったら許せないかも、というベンに同意。その辺は割り切り早いのが仕事できるこつなのかなぁ。それとも映画で語られないだけで今後フラッシュバックに悩まされたりしながら、ゆっくり関係を改善していくのだろうか。
新しい世界になじめず自信が持てなかったとか何とかマットはいっていたけど、ママ友との浮気って今後の子供の関係にまで影響してきそうだからなぁ。

ってかお前結婚してたのか。すっげーな。

社内を自転車で駆け回り、電話とスカイプ駆使して移動時間まで仕事(とママの相手)をこなすジュールズ。最初に彼女の家族が画面に出てたときの感想はずりーなぁ、である。若くして仕事に成功して、夫も子供もいるのだ。ずりー(彼女の努力と才能の結果で何もずるくない)。
うちの母が自営業で成功してるとは言いがたいのだが、なんとか会社(超ブラック)を潰さずにこなしていることに、家族は無関心であった。若い頃彼女は常に孤独を訴えていたが父以外の男性と恋をしたり中卒で職場があるだけでありがたいですという女性を右腕にして少しおちついた。その女性には休日でも呼び出されるとか一人だからトイレに行けなくて体調崩すとかが当たり前にある毎日を過ごさせてしまっている。母の死後、訴えられてもやむなしと思っている。
話がずれたが、ジュールズの仕事は素晴らしいのに、彼女が女性であるというだけで、部下にはCEOを外部から迎えるようにいわれ、夫には浮気され、母親からはその仕事の価値を無視され、視聴者にはずるいと思われてしまうのだ。アメリカでもまだまだ女性が社会で活躍するのは厳しい(それでも結婚できてるだけマシにも見えてしまうのだが)
しかし、結婚してるというと朝ドラでいうと(夫が残念だが)「あさ」なみの無敵感が私にはあるのだ。とと姉ちゃんのモデルは結婚してないのではなかったろうか。
離婚を恐れる彼女が、死んだら共同墓地で私だけひとりぼっち(夫と娘は今の相手じゃなくても新しい家族を迎えるだろう)と号泣する場面があり、そういうのが影響してるかもしれない。孤独への恐怖というか。家族いても孤独なんだけど。
最初ずるいと思っていた彼女がママ友の嫉妬や激務、夫の浮気に苦しんでるところまで観てようやく「凄いなぁ」と思えた。
そして、彼女の偉業を最初から讃えていたのがベンだった。
社会から必要とされたいというときにおそらくマットは男として男に必要とされたいと思ってしまったんだろうと思う。でも迷走したから男として女に求められる方に走ってしまった。
ベンはその「社会」感がちゃんとアップデートされてる感じ。女性の部下でも自分の尊厳を傷つけないし、上司の女性の尊厳だって守る。当たり前だけど難しい事だと思う。

マイ・インターン

原題は「The Intern」なぜ「私の」になったのだろう? おそらく視聴者がジュールズに自己投影しやすいからだろうと思う。でも、この映画の主人公はベンなんだよなぁ。
ジュールズとベンはサンフランシスコのホテルでバスローブで同じベッドに寝ても何もない関係。良き友人。
ジュールズがベンに「あなたは私の」と言ったときにベンが「インターンです」と応える。ここからマイ・インターンなのかなぁと思った。だから意味合い的には「私はあなたのインターン」みたいな感じなのかなぁ、とか。

男子中学生のノリ

女性の監督さんなのにうまいなぁなんて思うのは上から過ぎかw インターン生同士の会話、特にジュールズがマットとママを間違えて、ママ(心臓疾患あり)本人にママの悪口を書き連ねたメールを送ってしまい、そのメールを本人が読む前にPCで削除する、というミッションが発生したときのノリが男子中学生w
ただ、この場面がセキュリティシステム発動して警察が動いているのに「成功」となっていたのがちょっと不安。これあとあと大問題になるんじゃないの? と。その辺はたぶん映画をだれさせないためのスパイス要素なのであまり厳密さを求めても仕方ないのだろうけど。

ラストの不自然さ

体調が悪くても仕事を休まなかったベンが急に仕事を早退して何かと思ったらヨガ教室に行ってたのがなんかちょっと不自然に感じた。CEOの話も山場なのに何故そこで。
映画的にはヨガの画で始まり、ヨガの画で終わる。そして隣には新しい仲間が増えてる、みたいな感じで綺麗な終わりなのかもしれないけど物語的に強引だろって思った。

ラストの丁寧さ

夫の浮気は君が悪いのか? 君の仕事の罰として夫の浮気を考えていないか 的な台詞があってよかった。浮気する奴が悪い。
でも、CEOを迎えると決めてから風呂場で泣いてしまうジュールズは結局CEOを迎えない決定をしたくて、ベンに背中を押して貰う。
もしコレで終わっていたら、家庭は今までと同じで、夫も下手すると浮気を繰り返しちゃうと思う。
夫がちゃんと妻の仕事の価値を理解して、君に幸せになって欲しい、CEOを迎えるのを止めて、と言いにくるのは丁寧だと思った。
もし君が許してくれるなら、という問いに許さないけど一緒にいて、位の返しをして欲しい所だが字幕ではいまいちニュアンスが分からなかった。

ベーシック、クラッシックの重要さ

なんだかんだ言って、ベンの家に居候した若いインターンはベンと同じようにスーツを着るようになるし、職場のマッサージ師も夕食を持って訪れる。
古いモノをクラシックと言って愛用し、丁寧に暮らすベンの周りには自然と人が集まってくるんだなぁ。
大切なお客さんの所に行くなら襟のあるシャツを着ろ、ネクタイを結べ、ハンカチを持て(女性の涙を拭くためにねw)とか、こう、格好いいですよ。
そうしてクラシックではあるが古くはないのだ。女性社長を認めるし、彼女を正しく評価するように周囲に働きかけることもできる。決して押しつけないし、無理強いもしない。



5月に実家に帰るのでうちの母にみせたいなぁと思った。年老いた女社長である彼女の方が刺さるモノがあるのではないかと思うのだ。