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バツイチ40代女の日記です

『蹴りたい背中』って蹴ってるじゃねーかよ!!(怒)←ネタばれ

今週のお題「読書感想文」

蹴りたい背中 (河出文庫)

蹴りたい背中 (河出文庫)

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※価格はデータ取得時のものです

こっちもよかったら読んでね
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蹴りたい背中』、読んだの前提で話を進める。
読んでない人は意味不明と思うけど、読んだ人は感想を教えてほしいです。

ムカつくんである。
主人公ハツが嫌いだ。
そしてこのような物語がもてはやされるなんて!! と「俺の気に入らないものを正義の名のもとに滅せよ」タイプの感情がむくむくと育つ。いかんいかん。フェミフェミしてる場合じゃないw

蹴りたい背中」と「背中を蹴る」のは大違いで、前者には同意できても後者は全く理解できないのである。いや、私もDV気質だが。
だが、それを肯定してはいけないのではないか? と思う。特に「好きな子をいじめたい」という自分の幼稚な感情を自覚するべき時に「好きじゃない」と否定するならアクション(攻撃)も起こすべきではないだろ? それはただの暴力だ。*1
好きという感情のもとに、すべての責任を取る覚悟を決めてする行動として、それ(暴力)はふさわしいのか? よく考えるべきだろ。

この話のすばらしさは思春期の性的な衝動を好き嫌いと分けて描いて見せたことではないと思うんだよ、私は。
もちろん、解説(斎藤美奈子さん)に書かれた

孤立した十代の男女が、互いの寂しさを埋め合うために惹かれ合ってくっつく物語なら、もう腐るほどあるのです。

というのもうなづけるが

性を暴力に転化する男の子ならまあまあいた(いっぱいいた?)でしょうけれど、こんな形で衝動をぶつける、ないしはモヤモヤを振り切ろうとする女の子が、かつての日本文学に存在したでしょうか

はなんかいやだ。そんな奴は男女問わずいなくなるべきだ(が、絶対いるのでそれをきれいに描いた作品が称賛されるんだろうけど)。そしてツンデレはすでに結構いると思われw
ただ、当の10代女子がそれを文章にしたのがよかったのかねぇ?
detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

このベストアンサー、すごくいい文章だと思うけどあんまり賛同できない。

★思春期特有の性的衝動と、★異性への憧れ・愛着を隠す強がりです。

どちらも確かに自分にも有ったのに忘れてしまうものだなぁ。

・・・べきだって言ってるときはたいてい間違えてるからなぁw 4回も言ってる。

私がこの作品のいいなと思ったところは中2病にかかったハツの「俺は特別だから」感に水を差す「身近な人」がちゃんと出てくることだ。ハツは自分以外見下してるから(?)それらの言葉を流しているけど、10代のうちにそういう注意で治しておかないと、本当にこじらせてダメな大人になる。「孤独」は人間を狂わせる。

中学生の頃のグループ行動を沈黙が怖くて一生懸命話して我慢していたというハツに、友達の絹代はハツが一方的に自分のことばかりを話すことを指摘し、ちゃんと会話すれば沈黙も怖くないと諭す。ハツは恥ずかしくなってその場から逃げてしまう。*2

部活で先生と仲良くする生徒、両方を疎ましく思い、先生のことを「飼い慣らされてるだけ」と言ってしまったとき、部活の先輩が言う。
「私たちは先生を、好きだよ。あんたより、ずっと」
これって「私たちはハツより先生が好き」って意味と「ハツが先生を好きなより私たちのほうが先生を好き」って意味と両方取れる。後者でとったけど、私たちにわかるのは前者だけだよなーとか今思った。

黙ってにな川の家の2階に行ったハツに、にな川の母は注意をしてくれる。あまり治らないけどw

クラスの人間を「レベル低い」、自分は人間の趣味がいいから幼稚な人と話せないというハツに、にな川は「取り残されていた」現実を突きつけ、「”人間の趣味がいい”って、最高に悪趣味じゃない?」と問う

彼女はまだ全然「孤独」じゃないよなぁって思うのだ。その描写がリアルでよかった。確かに10代の・・・保護されているころの世界を思い出させる。

ハツとは友達にはなれないと思ったので物語を進めるのは苦痛だったが読むのはするする読めて、文章がうまいってこういうことなのかなぁって思った。

*1:好きだからと言い訳してもただの暴力だがw

*2:「会話はキャッチボールなんだよ」とマルセイに注意されたのは30過ぎてからだったなぁとか思い出して恥ずかしいw